大断面木構造[HABITA]の200年住宅では、5寸角(150mm)の柱や、一尺(300mm)の梁を構造体に使用。
大断面の構造体を扱うのは耐久性への対処です。
一般的な構造材の住宅に比べて、約2倍の木材量を使うことになります。
構造強度について解かれば解かるほど、より少ない材料で基準にあった強度計算値を出し、差額に利益にしてゆく活動につながりかねません。
大断面の構造体を扱うのは強度に対する不安ではなく、耐久性への対処です。
古民家もそのように造られてきました。そして材に対する愛着の心が芽ばえるからこそ、自分の世代で壊してはいけないという意識を生み、世の中に残してゆくべき家となるのです。
200年、500年、1000年以上と歳月を重ねている木造建築は、「現し」の収まりになっています。
それは日本の住宅だけではなく、世界各地に残る古い民家にも同様に共通の収まりです。
木は生きて成長しているときだけでなく、切られて建材になってからも呼吸をしています。住宅の中でさまざまな部位に使われている木材を、窒息の状態にすることは避けておかなければならないのです。
どうしてビニールクロスや壁紙などを貼って、その価値を認めるべき構造体を隠す必要があるのでしょうか。むしろ現しにすることによって、木構造の材質に対する信頼感は大きくなり、場合のよっては余分なコストも下がるのです。
HABITAの大断面木構造の住まいづくりは、環境保全のためにも、日本で育った価値ある樹木の価値を活用しています。
■国産材
戦後、木材不足の際に輸入材に頼ってきた日本も、戦後に植林を行ったせいか、あたりを見渡すと山には木々が生茂っています。現在、日本の木材の自給率は20%です。
これでも回復した方です。森林がない国ならいざ知らず、国土の70%の山地を有し、さらに戦後多くの植林を施し、今、伐採期の人工林が全国各地で未整備のなっており、経済・環境面において問題を醸し出しています。
環境保全と経済潤滑のためにも、今こそ、国産材で家づくりをしましょう。
■杉
木材は育った気候と大きな関係があります。
いうまでもなく日本の山で育った杉は、日本の気候や環境に適応しています。
軽いわりには強度があり、特に赤身材は水にも強く耐水性、不朽性があり、古くから外装材にも使用されています。
調湿作用や殺菌作用に優れているところから、図書室の貯蔵室や正倉院の保管室にも使用されています。
集成材は、乾燥の工程も確実になり、更に積層することで、ムクの木材よりも変化が少ないメリットがあります。
新しい技術により、現代の200年住宅が実現します。
■集成材とは
ラミナー※を繊維方向を平行にして重ね、貼り合せて一つにした建材のことです。
ラミナーを十分に乾燥(含水率を一旦10%以下に)させてから製造されるため、製品の出荷時には含水率が製材に比べて低く、かつ均一であります。 そのため、ムク材よりも明らかに寸法の変化が少ないのです。
また、表には見えない欠点を取り除きながら工業製品として製造するので一定の強度を確保できます。
現在までに残された古民家のような大断面の木構造を、本格的に実現するには、木質資源も、長期の乾燥時間も足りません。古くて正しいことを実現するための、新しい技術があってこそ現代の200年住宅が可能になります。
※ラミナー=厚さ2~3cmほどに製材し、節や割れなどを取り除いた板
木材の接合仕口は木構造の要です。柱や梁の接合部に欠損部分が少ない金物工法を採用しています。
耐熱、耐食処理を施した鋳鉄金物です。
伝統工法の中では、今でも大切に守り継がれています。
しかし大断面の木材があればこそ生かされる技術であり、複雑な形状の加工を小断面の木材の中で施しては、大きな断面欠損を伴う加工になりかねません。
また、加工が確実にできる職人も減っているのが現実です。
HABITAでは、柱や梁の接合部に欠損部分が少ない金物による工法を採用しています。
集成材の計算された強度とあいまって確かな家づくりが可能になります。
また、接合金属も工場であらかじめセットしておくことで現場での組立作業も短縮され、組立施工による品質のばらつきも解消されます。
古い日本の住宅は、間面記法で表される家の形状。
柱と梁を格子状に規則的に配置した構造体の組み方であり、現代的に言えば、ポストアンドビーム工法です。
LDKで表されるような、部屋を組み合わせて設計した住宅では、100年を越えた家族や生活・技術・様式の変化には対応しきれない可能性があるのです。
HABITAの構造設計は、この「間面」のつくりを基本にして進めてゆきます。